何か考えるように、私から目線をずらさず無言になる。
但し態度はやっぱり両手と足を組んで見下すようにだが。
──これって眼力(インサイト)ってやつ?
「監督に何と言われて入部した?」
「“よろしく頼む”って言われたわね」
「お前は何者だ?」
──は?
「私は私よ?ここにいる私が私ね。それ以外に何て言えばいいのかしら?」
「……分かった。確認は終わりだ。明日も仕事はしろよ?」
跡部景吾は何かを悟ったようだ。
正直彼の質問は上手い。
的を得ているというか、無駄がないというか。
こういう中学生が虐めの犯人なら面白そうなのに。
「私には質問させてくれないの?」
「何が聞きたい?」
「そうね。アナタの真実は何処にあるの?跡部景吾クン?」
彼は困った顔をした。
跡部景吾の困惑した顔をじかに見れるなんて、ちょっと予想もしなかった。
「俺様の真実は俺様の中にしかない」
心臓がドクンと高鳴る。
「良い答えだわ」
抑えきれない笑みを零し、そう言って立ち上がると、今度こそ部室を後にした。
──跡部景吾。
中々に面白い駒だ。悪魔の発言(呪いの呪文の様に纏わり付く)
⇒跡部景吾side