それからはさんざんだった。
藍場サンから「景吾が信じてくれないのはアンタのせいだ」と文句を言われ続け「腫れたら許さないんだから」と意味が分からない挑発を受け。
まったく、お姫サマは我が儘がすぎると思う。
今日の部活が終わる頃には中学生の脳味噌を良く見すぎていたという後悔の念しか残っていなかった。
それなのにこれから跡部景吾からの呼び出しに答えなければならない。
面倒臭くて堪らなかった。
早めに更衣室から出て、指定された通り、レギュラー用の部室に向かう。
途中、部員数人が何か言っていたが無視した。
「入るわよ?」
返事を待たずに扉を開けると、そこには椅子に腰掛けて生意気そうに顎で指示を出す跡部景吾がいた。
横には樺地崇弘が座っている。
彼の指示に大人しく従い、向かい合うように腰掛けると、やはり高圧的な口調で問いかけてきた。
「お前に確認したいことがある」
「“確認”?」
「そうだ。お前は藍場を叩いてはいないと言った。それは確かに真実だな?」
「そうよ、真実だわ。信じる信じないはアナタの自由だけれどね」