「藍場。お前はどうなんだ?その頬はどうしたんだ?」
「ヒック……綾が、突然、叩いたの。皆に、ドリンク配るのが遅いって。ホントは……遊んでたんじゃないかって。疑って」
「やっぱり貴女のせいじゃないですか。謝ってください、楓原先輩!!」
溜息しか出てこない。
中学生ってこんなに馬鹿だったかしら。
私の話は少しも覚えていないなんて、記憶力に問題がありすぎる。
「分かった、この件は保留だ」
「景吾!?私の言うこと信じてくれないの!?」
驚愕の顔をして藍場サンが言う。
どういう理由か知らないが、跡部景吾が彼女の予想を裏切ったらしい。
「言い分が食い違ってる上に証拠はない。答えを出すのが難しい状況だ。俺様には現時点では判断しかねる。だから保留だ」
「でも、跡部さん!加奈先輩は叩かれているんですよ?傷を受けていることに変わりないではないですか!!」
「俺様の判断だ!全員大人しく練習に戻れ!!」
何人かは明らかに不機嫌な顔をしたが、部長の指示だと言い聞かせるようにコートへと戻って行った。
「それから、楓原は部活後残れ。用事がある」