「どういう意味だ、アァン?」
「欲しい答えを言ってあげるってことよ。例え真実を告げても、否定されればそこでオシマイ。この状況で私の言った事を信じてくれる人は何人いるのかしら?」
跡部景吾が息を呑む。
それをたっぷり時間をかけて見詰め。
「話すだけ無駄だわ。その時間を一つでも多くの仕事に費やした方が効率的じゃない?」
「いい加減にしろよ!加奈が可哀相だろ!?謝れ、クソクソ楓原!!」
“謝罪の言葉が欲しいの?”という顔をする。
「いや、楓原。お前の“真実”とやらを聞かせろ」
“跡部!?”と向日岳人が驚きの顔をする。
どうやら彼を含む、鳳長太郎と忍足クンは納得がいかないらしい。
「俺様が真実を言えと言ったんだ。言え、楓原」
何故この場で聞くのか。
跡部景吾の真意が分からないが、聞かれたことに答えない理由はない。
信じられないであろう前提で、少し投げやりに答える。
「藍場サンが自分で叩いたのよ。私達は何もしていないわ」
そんなの信じられるかという批判的な声が上がった。
──やはり。