大きな瞳が今にも零れてしまいそうなほどに開かれる。


「天使様が何で此処に?だって、無理だって。神様の領域だって……」


私がニヤリと明るく笑えば、木ノ下サンはほっとしたのか優しく涙を浮かべて微笑んだ。


「久しぶりね、我が儘お嬢様?まだ生きていて良かったわ。ところで私は何時から“天使様”なんていう変なあだ名になったのかしら?」


「ごめんなさい、綾さん。だって夢だって思っていたから。あの日から少しだけ頑張れたから。だから……」


感動の再会よろしく、私にくっ付いて離れない木ノ下サンを見て、ほぼ全員呆然としている。
しかし、勇気を持った馬鹿もいた。


「貴女は彼女と知り合いなのですか?」


「あ、鳳先輩」


「えぇ、一度だけ会ったことがある“知り合い”よ。何か問題でもあったかしら?」


鳳長太郎は信じられないものを見るように私を見下した。
悲しそうな哀れむ瞳で。


「彼女が何者か知っているのですか?それでも友達だと言えるのですか?」


「知らないわ」


彼の言葉に隙を作らず即答する。
一瞬木ノ下サンが震えたのが分かった。
彼女を強く抱きしめ、真っ直ぐに鳳長太郎を見詰めて。



TOP


×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -