大きな瞳が今にも零れてしまいそうなほどに開かれる。
「天使様が何で此処に?だって、無理だって。神様の領域だって……」
私がニヤリと明るく笑えば、木ノ下サンはほっとしたのか優しく涙を浮かべて微笑んだ。
「久しぶりね、我が儘お嬢様?まだ生きていて良かったわ。ところで私は何時から“天使様”なんていう変なあだ名になったのかしら?」
「ごめんなさい、綾さん。だって夢だって思っていたから。あの日から少しだけ頑張れたから。だから……」
感動の再会よろしく、私にくっ付いて離れない木ノ下サンを見て、ほぼ全員呆然としている。
しかし、勇気を持った馬鹿もいた。
「貴女は彼女と知り合いなのですか?」
「あ、鳳先輩」
「えぇ、一度だけ会ったことがある“知り合い”よ。何か問題でもあったかしら?」
鳳長太郎は信じられないものを見るように私を見下した。
悲しそうな哀れむ瞳で。
「彼女が何者か知っているのですか?それでも友達だと言えるのですか?」
「知らないわ」
彼の言葉に隙を作らず即答する。
一瞬木ノ下サンが震えたのが分かった。
彼女を強く抱きしめ、真っ直ぐに鳳長太郎を見詰めて。