表情から判断するに、登場のタイミングを間違えた上に芥川クンのことを察したのであろう。
無駄に多い部員達を掻き分けて、彼の元にたどり着く。
「彼女が楓原綾だ。先も言ったが、転校生であり、マネージャーを務めてもらう」
「はじめまして。三年の楓原綾です。私は優しくないので覚悟してくださいね?」
ニッコリ微笑むと彼等も楽しそうに笑った。
きっと冗談で取ったのであろう。
私の本性を知る約二名は笑ってもいなかったが。
榊太郎は、跡部景吾に後を頼むと伝えると「ほどほどにな」と耳元で囁いてその場を後にした。
──分かってるじゃない、榊太郎。
少なくとも彼は馬鹿じゃないようだ。
榊太郎に値踏みし、場を任されたブルーの瞳を持つホストに目を向ける。
「俺様が部長の跡部景吾だ。それから、こいつらがお前と仕事をするうちのマネージャーだ」
俺様何様跡部様が紹介すると二人の女の子が私の前に立った。
「はじめまして。一年の岩浪春花です」
背の小さい可愛らしい女の子だ。
ぶつかれば飛んでいきそうで、何か持たせれば骨が折れそう。
二つ結びの長い髪に大きな瞳。
恥ずかしそうにこちらを見ている。