(榊太郎side)


転校生がやってきた。
編入試験は前代未聞の全問正解。
頭も良く外見も中々に魅力的である。


しかし、彼女はまるで天使のように甘い言葉で私に囁いたのだ。
悪魔との取引を。


私の担当している部が今、学校全体を巻き込んだ問題になっていることには薄々……いや、それ以上に気付いていた。
学校側も問題の早期解決を図りたかったが、何分証拠が全く出てこないのだ。


現状の悪化に不安を抱いていた時、彼女は颯爽と登場したのである。


まるで、この時を待っていたかのように。


それは勇者や神が、この世に現れる時と似ている。
人々は悩み苦しみ、手が付けられない、まさに最悪の状態。
それを見越したかのように、彼らは世界を救うのだ。
彼女も似ている。


私は彼女の女神伝説の登場人物のように、彼女に力を分け与えた。
教師と顧問という権力を。


彼女が本物の女神であることを祈り、これからの時間を過ごすのであろう。


それは、絶望への道なのか、それとも幸福への道なのか。
今はただ祈るだけなのだ。



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