だけれど今はもうその歳ではないから。
ちょっとだけ人生の先輩面なんてしてみる。


『現実で助けてよ』


「無理。面倒。億劫」


しかし、それも困難であることが木ノ下サンの一言で決まった。


『私、氷帝に通っているの』


「ヒョウテイ?」


『私立氷帝学園中等部』


「ひ、氷帝!?生徒会長はまさか……」


『跡部景吾先輩。知ってるの?』


「……」


押し黙るしかなかった。
そこは次元の違う世界。
決して行き交う事のない場所。


『ねぇ、お願い。せめて、せめて友達でいて?誰も、信じられなくなりそうなの。ねぇ、それも傲慢?』


だから夢なんだ。
これは私の、夢の中。


夢小説にハマった結果だ。
笑ってしまうほどに馬鹿馬鹿しい。


「ゴメン、無理。ここからは神様の領域だ」


『神様?』


人が行き来出来ない空間さえ、夢は飛び越える。


「じゃ、頑張りなよね。我が儘お嬢様。応援してるよ」


『そんなっ……』


「バイバイ」


つまらない結果。
明日の一限目は何だったかなー?





夢の狭間で
(ハジマリを見た)



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