そんなことを思いながら、感情的な木ノ下サンの対称である私は、努めずとも冷静で、出てくる言葉といえば淡々としていた。
「で、飛び降りたってワケ?」
『……飛んでない。まだ家のベッドで寝てる』
「あ、そう。リスカは?リストカット。したの?」
『カッターナイフを手までは』
「なんだ、まだまだ生きる気力あるんだ。情けないこと言わないでよね」
まるで一問一答だ。
そうして導かれた答えに安心して、思わず少し笑ってしまえば、木ノ下サンの逆鱗に触れたらしい。
『なによ!貴女には分かんないでしょうね!』
「最初から分かんないって言ってんでしょーが。何期待してんのよ。私に何をしてほしいわけ?」
『……どうせ、何もしてくれないんでしょ?』
グスン、なんていいそうな雰囲気。
感情表現が豊かなのだろう。
そんな時が、勿論私にもあった。
「“同情”はしないよ。時間の無駄だし。で、何かしてほしいんでしょ?何さ?」
『どうして私の気持ちが分かるの?』
「あのね、伊達に二十一年も生きてないよ。馬鹿にしないでよね?で、何?夢では願いを叶えてあげるからさ」