「はぁ」
思わず資料を見て溜息が出てしまう。
冬に草食動物が群れをなすのは自然の摂理かもしれない。
だけど、群れをなすのも並盛の秩序を汚すのも、僕は許可した記憶がない。
つまりここ最近増加傾向にある問題は、学習能力のない草食動物が馬鹿なだけの事だ。
全く。
咬み殺さなければ学ばないとは、その辺の赤ん坊より質が悪い。
その、増加される問題の資料の量を見て僕はまた、溜息をついた。
「委員長っ!溜息ついたら幸せ逃げますよ」
──馬鹿は此処にもいた。
彼女は葉月。
風紀委員会唯一の女子にして、最も弱い存在。
馬鹿で間抜けで本当に使えない。
「ポッキー食べて元気出して下さい」
ワォ。
堂々と違反かい?
学校に菓子を持ってくる事だけでも、校則違反だというのに、僕に所持を報告するなんて。
本当に、よっぽどの馬鹿だ。
「今日はポッキーの日なので、ポッキー食べてイライラを解消しましょう」
自分で口にくわえて、もう一本を差し出してくる。
ポッキーの日なんて菓子会社の戦略に乗るつもりはないけれど、葉月の持つポッキーは魅力的に感じた。