クチュッと甘い音が鳴る。
驚いて引っ込む葉月のそれを逃がさないように、執拗に絡め。
ガチガチに固まって、肩を押すしか拒み方を知らない腕と指が。
力無く必死に自身のスーツジャケットを握る頃に、やっと唇を離した。
ペロリと唇を舐めるのを忘れずに。
「美味しい」
雲雀の艶やかな色気に侵される思考。
宝物を触るように優しく頭を撫でられ、その長く綺麗な指が頬に触れる。
葉月の心臓は痛いほど、跳ねていた。
「や……だ」
「君に拒否権はないよ。これは僕の報酬だ」
瞳に溜まる涙ごと舌で舐め取られ。
そのまま頬から首筋を辿り、異性になど見せたこともない胸元へとキスを落とす。
いつの間にか器用に外されたパジャマの前ボタン。
当然、眠る直前だった葉月がブラジャーを着けているはずもなく。
ふるりと震える、年相応に発育された胸が雲雀の瞳を楽しませた。
「きゃっ」
異性の、それも大人の男の前に曝された自身の胸。
手で隠そうと反射的に腕を動かすが。
直ぐに雲雀によって遮られた。