中途半端に着崩れた着物は、もう二度と使えないだろう。
美味しいご飯を更に美味しく見せるそれさえ、僕の好みに合わせているのだから当然と言えば当然。


「駄目。約束を破った悪い子にはお仕置きだから」


その言葉に明らかに震えた葉月に、もう許しは必要ないだろう。
言い訳が口から出る前に、奥の奥まで挿れて。
それだけで僕の好きな所を締めた葉月にまた“愛情”を注ぐ。


「あああっ、んっ」


たっぷりと、全てを僕のものにするために。


「まだ、足りないかな」


「もっ、やあ……ゆるっ」


くるりと反転させて僕の下から見上げさせる。
涙に濡れ、真っ赤に染まった君は言葉とは裏腹にそうであるように僕に抱き着いて来た。


そうすれば何時も優しくしてもらえると知っているから。


けれど今日は駄目。
まだもう少し。


「優しく、咬んであげる」


ゆるりとまたピストンを始めた僕に、葉月は少しの恐怖を瞳に映しながら、従順にまた僕を悦ばせ始めた。


それが周りから、いや、あの草食動物達から与えられた“仕事”だと、一生知らないまま。


――ね、葉月?





サクリファイス
ラヴァーズ
(真実なんて無価値だから)



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