「私、大人になったんですよね?」
“大人”になる。
幼い日に、両親を亡くした小さな少女が。
それはハヅキの中で成長と同じ意味であり、また特別なことであった。
他の誰とも比べられない自身の成長を知る、小さな変化。
そしてそれは、セバスチャンにとってもまた、特別なことであった。
「ええ、そうですよ。けれど、もう一つ」
人差し指を立たせて、甘く囁く。
「もう一つ?」
「やらなければならない儀式があるのです」
悪魔の誘いを。
セバスチャンは手早く上半身の服を脱ぎ捨てると、不安と期待の入り混じったハヅキのおでこに軽くキスを落とした。
勿論、チュッというリップノイズを付けて。
「怖いですか?」
「ちょっとだけ。でも、大切なことなんですよね?」
「ええ。とても、ね」
安心させるよう、ニコリと微笑む。
内心の舌なめずりを隠して。
ハヅキの持つ上布団を少し力で引きはがすと、そこには汚れない少女の白く綺麗な裸体が。
怖がらせないよう、あくまで優雅にゆっくり彼女の身体に覆い被さる。