「貴女ごときに私達を引き離す権利があるとお思いですか?力もセンスも能力もないトレーナーに選ばれた貴女の手持ちの方がよほど可哀相に見えます」
手に力が入る。
煽られている。
悪趣味なこの男に。
「貴女ももうお気づきでしょう?此処はノーマルトレイン。私は半分も力を出してはいないのです。ノーマルが許されるのは幼少の、そう……まだ子供だけかと」
にこにこにこ。
厭味なほどの美しい笑顔で残酷な言葉を軽々しく発される。
ハヅキも自らが有能なトレーナーではないことを理解していた。
元々ポケモンがバトルで傷付くことが見ていられなくてトレーナーとしての人生は考えていなかったから。
ポケモンと友達、家族であるだけならばトレーナーである必要はない。
だからプラズマ団の講演にとても興味を惹かれたのだ。
「ねえ、ハヅキ様?」
ガンッと強い音がして身体を車両の扉に押し付けられる。
一瞬何が起こったのか分からず、ハヅキはノボリの顔を見上げると、目をぱちくりさせた。
「言葉で理解出来ないようでしたら、直々に教えて差し上げましょうか?」