「相変わらず弱くていらっしゃる」
にっこりと優しく微笑むノボリにぎりりと苦虫を噛んだ。
サブウェイマスターの一人、ノボリとプラズマ団の一人、ハヅキ。
お互いにその存在を毎日確認するほど見知っている。
それもこれも、全てハヅキが毎日このバトルサブウェイのシングルトレインに挑戦しているからだ。
「貴方達のような廃人がポケモンを不幸にしているのよ!」
そう初対面で告げてからどれくらいの時が過ぎただろう。
バトルに勝利すればポケモンを解放するという約束は、未だ果たされていない。
彼のパートナー達はモンスターボールの中だ。
厳選されて育ったであろう“彼等”。
その裏にどれだけの選ばれなかったポケモン達がいるのだろうか。
ノボリが大切な恋人のようにシャンデラを撫でる。
女の子達が望むその位置にいる彼のシャンデラは、とても無理矢理パートナーでいるようには見えない。
そんなことは十分、とっくに、嫌になるほど見せ付けられ理解していた。
だからこそ余計に彼等を解放したい。
モンスターボールに縛られている関係ではなくて、もっと違う絆があるはずだから。