呆然と倒れたランクルスを見詰める。
ハヅキの「トウヤ君!」という声に慌ててランクルスをモンスターボールに戻したが、その赤い光は揺れていて彼の手が震えている証拠だった。


コツリコツリとパンプスの音が近付く。
「トウヤ様」と頭上から聞こえた声は低く、彼に恐怖すら感じさせた。
ゆっくりとトウヤが顔を上げるとそこにいたのは何時にも増して無表情なノボリだった。


「貴方様には珍しく、指示を躊躇されたように感じましたが、本日は何か特別なことがございましたか?」


「…………ノボリさんこそ、今日は随分と攻撃的でしたね。何かしたんですか?」


お互い一歩も引かない。
発されない言葉の中に“ハヅキと”という言葉を含めて。


今回のバトルは、理屈戦でバトルを展開するノボリには珍しく、攻撃技ばかりを繰り出していた。
いっそ八つ当たりかと思える程に。
それはトウヤにとってはあまり価値のないバトル戦法でもある。


「今日はもう来ません。帰ろう、ハヅキ」


ホームにトレインが到着し、先にトウヤが降りた。
後ろを振り返ってハヅキに手を差し出すと、乗車した時と同様に彼女の手を握る、




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