それこそ、本当はバトルがメインではないと分かるくらいに。
「それはっ……き、今日はトウヤ君を見たくて」
「え」
「ダメ、かな?」
不安そうに見詰める目は震えていて、決定権を委ねる聞き方はトウヤを優位に立たせる。
これがただの幼なじみならば片思い一直線だろう。
しかし、トウヤの気持ちは簡単には動かなかった。
その表情が彼に向けられたものではないと、よく知っているから。
「良いよ。行こうか」
トウヤから伸ばされた手を、少し躊躇いながら握り返す。
小さく微笑んだハヅキに、丁度到着したバトルトレインから鋭い視線を送っていた人物がいるとも知らず。
「シャンデラ、オーバーヒート」
普段より幾分も淡泊な声がトレイン内に響いた。
冷静沈着なスーパーシングルトレインの重鎮は、トウヤが次の指示を出すより先に、容赦なく彼のランクルスを戦闘不能へと誘った。
恐怖を抱いても可笑しくない位に残忍に、徹底的に叩きのめして。