あえて“そう”見えるように楽しむカミツレ。
ノボリはそんなカミツレを見ているだけで気が付かなかった。
ガラス越しに送られる、何時もの視線が悲しみに染まっていることに。
「珍しいね、ハヅキから誘ってくるなんて」
「うん、たまにはバトル見たいなって」
スーパーシングルトレイン四十八戦目。
次はサブウェイマスター戦だが、その前にトウヤが一旦休憩を挟むのは見慣れた光景だ。
普段はトウヤかトウコが誘わないとバトルサブウェイに足を踏み入れないハヅキが、何を思ったのか「シングルバトル、見に行っても良い?」と積極的に誘ってきたのだから、トウヤは四の五の言わず「スーパーで良いなら」と答えたのだ。
トウヤにとってはBPが手に入るしバトルが楽しめるのだから、シングルだろうがダブルだろうが、勿論マルチでも構わない。
「……ノボリさんと、何かあった?」
バトルが苦手なハヅキが誘ってくるということは、つまりその殆どがノボリのバトルを見たいということだ。
バトルは怖いがノボリのバトルは特別らしく、何度もバトルレコードも見ている。