「お待たせしました、ノボリさん。皆、元気でしたよ」
「何時もありがとうございます、ハヅキ様」
にっこりと微笑むハヅキにノボリも頬が緩む。
何時までもこうしていられたら。
そんな彼の内心など露知らず、ハヅキは検査の結果を確認しつつポケモン手帳に記入していく。
最後にサインを記入すると「はい」と渡された。
今週もまた、これで終わりだ。
「ではまた来週もお願いいたします」
「はい。あの……」
モンスターボールを腰のベルト部分にセットしながら、ノボリは不思議そうに顔を上げた。
何時もはこれで話が終わるのだ。
ハヅキは少し照れながらも、にっこりと微笑んで、
「ノボリさんも、体調には気をつけてください、ね」
そう言い切ったハヅキの顔を見て、ノボリの心臓はドクンと跳ねる。
ポケモンバトルでさえ、最近はこうも緊張しない。
「ありがとうございます」そう答えたノボリの顔が普段より何倍も穏やかだったことは、隣に寄り添うシャンデラ以外、誰も知らない。(二人の頬も)
タブンネ色の午後
(……タブンネ?)
お題拝借:キリン町 様
「フラミンゴ色の午後」より