「っあ、この匂い、インゴボスと同じですね」


「なんです、いきなり」


「車の匂いかと思ったんですが、ボスのコートも同じ匂いがします」


出発の際、投げつけられた黒いサブウェイボス専用のコートから、同じ爽やかな匂いがした。
車にコロンとは、どんだけタラシなんだと思ったが、そうではないらしい。
成る程、ボスの匂いか。


「この匂い、素敵ですね。今度ブランド教えてください」


「……お前は、」


インゴボスが何か言おうとしたことに気付いたが、思わず声を被せて「あ、あの、Please get me off here.」と伝えた。


徒歩三十分を車移動なんて、かかる時間は十分位にしかならない。


「……もう一度言いなさい」


「え?あの、ここで降ろしてください」


なんだかとても真剣な表情で言われ、カチンと身体が固まる。


現地入りするまでに、ちょっとでも英語に馴れようとしてレッスンなんて通って。
少し緊張しながら話してみたが、やはり発音に難ありか。
無難に日本語で伝えると、チッ、と失礼な舌打ちが聞こえた。
え、なんで?




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