「ええ、しかしきちんと貴女様の声で聞きたいのでございます。バトルに負けたら、私達の可愛い部下になる、ハヅキ様に」


ふざけたノボリ君の物言いにキッと睨み付ける。
それを楽しそうな灰色の四つの瞳が返してきた。


「サブウェイマスターとして挑戦を受けます。貴方達も、ただの挑戦者ではなく、そのつもりで来なさい」


極力淡々と紡ぐ。
手持ちポケモンも選ぶ技も、そしてバトルの采配も、それはいちトレーナーとしてではなくサブウェイマスターという名に恥じないバトルをするということ。


「ええ、勿論」


「そのつもりだよ」


にやりと笑った二人の部下。
その二人がまさかただの廃人ではなく、変わった廃人、いいや、誤魔化すのは止めよう。
そう、イカれた廃人であったなど、その時の私が知る由もなかったのだ。


「それでは、お互いに紳士に。目指すは勝利、出発進行!!」


ポケモン達の雄叫びが静かな執務室に響いた。















「ハヅキ様?お体が震えておりますよ?冷えますか?」


ビクンと身体が震えて記憶から脱出する。
心配そうに私を見つめる四つの灰色の瞳。
あの時の、真っ直ぐで楽しそうな瞳とは異なる、心配しているはずなのに、禍々しく欲を含んだ瞳だ。


そう、私は彼等に負けたのだ。
それも完膚無きまでに惨敗した。




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