その辛辣な言葉にノボリは小さく笑った。
「ええ。私だけのハーデリアが欲しかったのです。私の愛情しか知らず、私だけを信じ、私だけのために生きる存在。……なんて愛おしいのでしょう!」
「……そのハーデリア、孕ませないでよね。たとえ兄さんでも、僕、面倒事は嫌いだから」
「まさか!そのような失態はいたしません。私とハヅキ様の間には何者も踏み込みはさせませんから」
そうして通話が終了すると、ライブキャスターなど興味もないようにノボリはハヅキ をまた優しく撫でる。
「ええ、私がきちんと愛情を注いで差し上げましょう。可愛いハヅキ様はこのモンスターボールの中で私だけの愛情を知ればよいのです」
ちらりと腕時計を確認し、ノボリは重く溜息を吐くと直ぐに身支度を整える。
もう直ぐクダリとの交代の時間だ。
「行ってまいります、ハヅキ様」
ぱたんと閉じて鍵を掛けた部屋から、シャラッと虚しく鎖の音が聞こえた気がした。(貴女の未来を)
迷わぬように手を引こう
(エスコート致します)
お題拝借:たとえば僕が 様