にっこり。
それが全てだった。
深い闇に落ちたように眠るハヅキの横。
ノボリは乱れた髪をかきあげて、もう片方の手で彼女の流した涙の跡を辿る。
先程まで反抗的だった口は今は静かで、優等生のように従順に従った身体は一ミリも動かない。
「ふふっ、可愛いハヅキ様」
「ノボリ兄さん、もう気はすんだの?」
突然鳴ったライブキャスターに視線を送ると面倒臭いものを見るような顔のクダリが。
そのままライブキャスターを持ちもせず、ノボリはそちらに声だけを送る。
あちらにはこの部屋の天井しか映っていないだろう。
「まさか。可愛過ぎて足りませんよ」
「どこが良いんだか。バトルも弱いしつまらない。……従順なハーデリアでも欲しかったの?」