ノボリが此処にいるということは、つまりそういうことなのだろうが。


「ええ。ハヅキ様にはお辛いでしょうが、ギアステーションも地下鉄も無事運行中でございます。……私はこうなることを理解していながら貴女にお伝えしませんでした」


ゆっくりとノボリの手が頬から身体に下りて躊躇いなく触れてくる。
ギシリとスプリングの音がしてハヅキは自身がベッドの上に寝かされていたことに気付いた。
本当に今更だが。


「あの、とりあえずっ、離れてくださいっ!」


慌てて膝を立てて手を突き出す。
「近い近い近い!」と騒ぎながら必死にノボリから避けようとした。
だが、まるでそれが不思議なことのようにノボリはきょとんとした顔で首を傾げる。


「可笑しなことをおっしゃいますね。貴女はもう私の……そう、いわば手持ちでございます。ポケモンではありませんが」


「は、い?」


奇妙な言葉にハヅキが躊躇すると、ノボリは直ぐに理解したようでにこりと笑顔で続けた。


「ああ!きちんとお伝えしておりませんでしたね、申し訳ございません。私、真剣に考えたのでございます。貴女のいう“解放”とやらが如何に無意味であるかを。ええ、十分に理解されているとは思いますが私のシャンデラは特にそうでございます。ポケモンとトレーナーが如何に理解し合い相手を信用しているかによってバトルの展開は多様に分岐していきます。お分かりでしょう?勝利とはその繰り返しであり、また、結果でございます。ですから、ね?」




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