二人の後ろ、バトルで戦闘不能になったはずのハーデリアがもう動くのもままならない状態でも、立ち上がろうとしたのは。
こちらを睨みつけてグルグルと喉を鳴らす。
怒っている。
いや、ハヅキのハーデリアは相棒らしくトレーナーのためにノボリを威嚇していた。
「おや、随分と威勢がよろしいですね。まだそのような力がございましたか」
ガクガクと震える足を蹴ろうと状態を屈める。
しかしハーデリアの努力が叶うほどこの廃人の聖地バトルサブウェイは甘くない。
冷たい声は容赦なくハーデリアの未来を奪った。
「シャンデラ、サイコキネシス」
ノボリに忠実な彼の相方は、彼に負けず劣らず残酷に全力でサイコキネシスを放つ。
ノーマルタイプのハーデリアがエスパータイプの技を受ければ……結果は言わずもがな。
床に倒れるハーデリアに手を伸ばしたハヅキは一瞬身体の後方に異変を感じたが、ただそのまま白く薄れる視界の中で、パートナーが倒れたのを見た。
「少し、お休みくださいまし」
そんな言葉を聞きながら。
「…………ん」
ぼんやりと思考が回復してくる。
真っ暗な視界には仄かなテーブルランプの光が唯一の明かりだ。