呆然とする私に彼等は信じられないくらい優しくて甘い声で、死刑宣告を叩きつけてきた。
「ご安心ください、ナマエ様。私達は貴女様を貶めたり後ろ指を指されるような生活を強いたげるためにこうした訳ではございません」
どういう、という疑問は届かない。
そう、今みたいにクダリ君に前から、ノボリ君に横から見られていた。
「僕もノボリ兄さんもナマエさんのこととても尊敬してる。でも、それだけじゃ足りなくなったんだ。分かるかな?」
伏せられたクダリ君の目が近づいてくる。
本能的に逃げろといっているのに、身体は全く動かなかった。
耳元で不快に感じるくらいねっとりとした声が、その先を紡いでも。
「ナマエさんの特別になりたいんだよ」
ぐっと首を強く絞められる。
自分の顔が驚きと苦しみに歪んだのが分かった。
息が、上手く出来ない。
「可愛いナマエ様。貴女様が私達の知らない所で私達の知らないことをされているのではないかと、常に不安なのでございます」
「優しいナマエさんのことだから、悪い人に絡まれたり、危険なことに巻き込まれていないか心配なんだ」
きっと町行く女の子達が聞いたら倒れてしまいそうな甘い言葉。
言葉だけなら。
私の首に絡み付く手も、行く手を遮るような立ち位置も、後方で威嚇している彼等のシャンデラとシビルドンも。
全く何もなかったら、もう少し信じてあげられたかもしれないのに。
全ては結果論だが。
「でももう大丈夫」
「そう、もう何も心配する必要はないのでございます」
にっこりと微笑まれる恐怖に、二人の拘束を逃れようと全力を出して暴れた。
嫌、離して、触らないで。
けれどそのどれも届くことはない。
勿論、女の私の力がどれだけ強くとも男の彼等に通用するはずもない。