サブウェイマスター専用の執務室に突如入室した部下が何を言い出すのかと驚いた。
言われている意味が理解出来なかったのだ。
しかしこういう思考の持ち主は残念ながら彼等だけではなく、何年かに一度、本当にたまにあるものだから私は思わずクスリと笑うと、立ち上がってきちんと二人に向き合う。
「サブウェイマスターに必要な能力はバトルの実力だけではないと貴方達なら理解しているでしょう?いきなりどうしたの?」
黒と白でしかデザインされていない専用のコートを羽織る。
ただの上司としてではない。
サブウェイマスターとしての意見であるという意味だ。
そんな私を見て彼等も笑った。
忘れもしない、初めて見た背筋が凍るような冷たい瞳だった。
「十二分に理解しております。それを差し引いてもなお、私達の方が勝っていると言っているのでございます」
「そういうこと。僕達も子供じゃないんだから、馬鹿じゃない。きちんと役員にも許可を取ってきたってこと」
「許可?」
何かと差し出された紙をまじまじと見る。
するとそこには、信じられない言葉が綴ってあった。
簡潔にいうとポケモンバトルでの勝者がサブウェイマスターを継ぐということ。
私はリコールに賭けられたのだ。
「勿論、受けてくれるよね?」
「はっ。初めからそのつもりでしょう?わざわざ聞くなんて意地が悪い」