一瞬躊躇われたあと、壊れ物を触るように優しく撫でられる。
嫌でも分かった。
雲雀の指が愛液で汚れたことが。


「もう、やだ……。止めてくださっ」


恥ずかしくて怖くて辛くて、涙が溢れて来る。
閉じようとした足は雲雀の足に遮られて閉じられない。
名前の脳内はパンクなんてとっくに通り越していたのを、雲雀は簡単に察していて。


そんな状況で真っ直ぐ見られた雲雀は完全に煽られた。
勿論、劣情を。


「やだ。止めてあげない。……ねえ、君は知ってた?」


「え」


「僕はずっと君が欲しかったんだ。初めて会ったあの日から、ずっと、ね」


耳元に聞こえた低く掠れた色っぽ過ぎる雲雀の声。
そんな声を脳に残したまま受けた、あまりにも優しい触れるだけのキスに。


「そんなの「名前しかいらない」」


繰り返し与えられるキス。
見たことがないほど真っ直ぐに見られている瞳。
その雲雀の瞳は紳士で誠実で真剣なのに……酷く欲望に濡れていた。


「名前だけが欲しい」


手は止まることがなく、厭らしくくちゅくちゅと聞きたくもない音が響き、耳障りで。
そのまま指が少し上がり、ぬるっと触れられた箇所に強い刺激を受けた。



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