「リーヴェ、今少し時間をくれないか?」


有利への謁見を無事に終えたリーヴェを扉の前で待っていたのはコンラートであった。


既に有利はギュンターとヴォルフラムと共に部屋に戻り、もうあとは誰しも睡眠をとるだけである。


「何の用ですか?」


「君に言いたいことが……いや、聞いてほしいことがあるんだ」


二人の間を気まずい空気が流れる。
ギスギスした重い空気だ。


大きめの執務室の窓からは、昼間の明るさが考えられない程の闇が入り込む。
闇の中、月と星の青白い光が二人の顔を照らし出せば、それが重苦しい雰囲気を余計にかもち出していて。


青白い光に背後から照らされ、暗く影を落としたリーヴェはあからさまに訝しげな顔をする。
反対に、コンラートも月明かりを正面から受ければ、普段の彼では考えられないようなキツめの顔をしていた。


「……同じ過ちは繰り返しません。心配ならば気を許さなければ良いでしょう。では」


「待ってくれ!」


一瞬でもコンラートの前に居たくない事をあからさまに表現し、早口で事を済ませ、立ち去ろうとしたリーヴェの腕を持ち、彼は思わず引き止める。



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