暗い暗い裏の世界を。
紅い泥沼に飲み込まれないように。
それが重く苦しい世界だと理解していても。


──そこが私の生きる世界だ。


ふっと自嘲気味に口角を上げる。


すると、けたたましい足音が聞こえてきた。
大シマロン兵か?


けれど答えはそれより最悪だった。


「リーヴェ?」


この場に最も相応しくない。
誰よりも白く、誰よりも黒い魔王陛下の、弱々しい声だったから。






仕事
(貴方には知られたくなかった)
(──何故だか、とても)




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