分かることは。
計画を立てる事で伝えた、暗殺内容と。
彼等の覚悟と。
魔王陛下との約束を破るという事実だけ。


スッと差し出される研がれた剣。
真っ直ぐに見詰め合う両者。


全員がその場で目を瞑るのを確認すると。
リーヴェも覚悟を決めた。
それは誰かを亡き者にする時に誓う気持ち。


「眞魔国で待っている」


輪廻転生。
魂は次の者へと引き継がれる。
それがまた。
この地であるように。
この地の繁栄であるように。


差し出された剣を手に。
鍛えた技術で。
せめて。


せめて、死が辛いものでないように。
死が幸福を齎すように。


光が一筋輝く。
同時に崩れ落ちるヒト。
一瞬でその場の大シマロン兵は、全滅した。















真っ赤に染まる血。
床は夥しいそれで、もはや本来の色をしていない。
酷く鼻につく鉄の臭い。


剣からは、ぽたりぽたりと紅い雫が零れた。


──泣くことも、後悔も許されない。
リーヴェはそう思う。


確かに彼等は、自身に命を預けたのだから。
その紅い命を背負って。
また歩まなければならない。



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