「……はい」
その言葉を聞くと、有利は紙をギュンターからさらりと奪い、執務室のドアの前で笑顔で待機していたコンラートの元へと走る。
目指すは、ヨザックの待つ城下だ。
誰が予想しただろう?
誰がこの現実を待っていたのだろう?
「リーヴェ?」
「見てはいけません!」
ぽたりとまた紅い液体が床に広がった。
コンラートが急いで有利の目を自らの手と腕で隠したが。
時既に遅しだった。
誰がこの現実を望んだのだろう?
誰が求めたのだろう?
血の池の中に佇む、リーヴェの姿を。待機(それが最善だと疑わなかった)
(今でも正解は分からない)