多分、これが今出来る最善の手法だ。
ヨザックが退室したのを確認すると、有利は驚いているグウェンダルとギュンターにニヤリと笑って見せた。
──魔王サマは、やるときはやるんだ。
同じくニヤリと笑ったヴォルフラムと。
“こうなると思った”と軽く肩を落として苦笑するコンラートには。
そう、有利の声が聞こえた気がした。
それから半日以上。
有利は珍しく、真面目に執務を熟している。
文句も言わず真剣に。
というのも、朝の会議のせいだ。
自らの発言とはいえ、グウェンダルとギュンターという眞魔国二大執務勢力に喧嘩を売ったのだから。
それから彼等からの風当たりは実に厳しい。
「少しくらい休みたい」と言えば「部下の仕事中に休むほど、魔王陛下は冷たいのか」と睨まれ。
「少しくらい手伝だって」と頼めば「陛下のためになりませんから」と笑顔で断られる。
まさに八方塞がり。
仕舞いには執務机の目の前で、四人で仲良くティータイムときた。
当然、先程まで有利派だったと思われるコンラートとヴォルフラムも含めて、だ。