相手も、まさか此処まで女一人で戦うなど思っても見なかったようである。
確実に体力を消耗していた。
「次で決める!!」
そう大シマロン兵が言い、リーヴェに突っ込んできた時だった。
ギュッと剣を握り、相手の動きからとどめを刺す最善の方法を無意識に考え始めたリーヴェの頭の中を、有利の言葉が繰り返す。
『人を殺すことは罪だ!もう人を殺したりするな!絶対だ!!』
魔王陛下の命令が、その言葉が、一瞬の隙を作った。
「貰った!!」
「ッ!?」
音を立てて、リーヴェの剣が宙を舞った。
所変わってこちらは血盟城。
有利はそわそわしていた。
「なぁ、リーヴェはまだかな?」
「そうですね。まだ来ていないみたいだ」
にこにこと微笑みながら答えるコンラート。
本日十回を軽く超えるそのやりとりに周りは飽き飽きしていた。
「ユーリ!貴様、ぼくと言う婚約者がいながら、他の女を気にするなどどういうつもりだ!!」
「えっ!?だってお前もリーヴェと仲良く話してただろ?おれだって色々話してみたいよ」