有利が部屋に帰ったのを確認すると、リーヴェは項垂れるように、疲れを露わにした。
朱色の前髪を片手でかきあげる。
もう、立っているのも限界だったようである。
「リーヴェ」
「なんでしょうか」
コンラートと二人で残るのも、これが二回目。
リーヴェは半分やけになっていた。
「今日の態度は感心しない」
「……」
「ギュンターにはあとで謝っておけよ?」
「はい」
コンラートは溜息を吐く。
リーヴェが半分以上聞いていないのを理解しているからだ。
だからもう一度。
ぼんやりとしているエメラルドの瞳に真っ直ぐに視線を合わせた。
「ユーリは魔王陛下だ」
その一言にリーヴェはビクリと身体を震わせた。
分かっていても、身体に限界がきてしまうのは生きているから。
それでも、今のリーヴェにコンラートの言葉は重過ぎた。
「……理解しております。申し訳ありません」
ギリッと歯を食いしばり、感情が先行しそうな気持ちを抑え、理性を働かせる。
「なら良い」
それに素知らぬふりをしてコンラートは先に執務室を出た。
それを見送ったリーヴェは、もう既に限界を超えた身体を引きずり、城下へと舞い戻っていく。興味(それでさえも今はただの仕事で)
(そしてただのシガラミでしかない)