リーヴェの目の前には、彼女の帰りを待っていたのであろう、有利の姿が目に入った。
あからさまにリーヴェを待っていましたオーラが出ている。
リーヴェもリーヴェで、魔王陛下のその期待に答えないわけにはいかないと、ない精神力を保って、何とか執務室まで辿り着いた。
先に問題を切り出したのは有利である。
「その、昼間は殴って悪かった」
「いえ、お気になさらないでください」
正直物凄く腫れて痛いが、今のリーヴェにとっては痛みなど気にもならない。
「いや、女の子を殴るなんて、男として最低だ。ホント、ゴメン!!」
「いえ、全く気にしていませんので、お気になさらないでください」
対して有利はこの機会を絶対に逃さないかのように、真剣である。
傍から見ていると物凄く異様な光景であった。
コンラートは笑いを堪えるのに必死のようである。
「おれ、リーヴェのことをちゃんと本人から聞いたことがなかったんだ。よかったらリーヴェのことを教えてよ」
「……陛下に特別お伝えするような内容や過去は持ち合わせておりません。私のことはお気になさらないでください」