「その男は……もう……し、死んでるのか?」


ぶるりと有利の身体が震えた。
“死”という非日常の単語を発した自身に。
人の“死”という現象に。


震える有利の声に。
リーヴェは気付きながらも淡々と返事をする。


「はい。私が殺しました」


「何で……何で殺したんだ!?」


怒りと納得のいかない真っ直ぐな瞳で有利はリーヴェを見詰める。
強く握られた拳が震えていた。


「そう命令が下りております。それに例え命令が下りていなくとも、二次災害を発生させないためには正しい判断かと」


瞳で有利の感情を簡単に読み取るも。
あくまで彼女自身は冷静さを失わない。


淡泊に、淡々と述べられる事実に。
我慢がきかなくなったのは有利の感情だった。


「二次災害……?そんなのないかもしれないだろ!?おれは詳しく知らないけれど、そいつは悪い事をした奴かもしれないけれど、ちゃんと反省したらもう二度としないかもしれないだろ!?」


──おれの悪い癖だ。



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