震える身体。
気を抜いたら気絶してしまいそうなくらいに強烈な存在感。
戦場でさえもこんな威圧感をリーヴェは感じたことはなかった。
それを見抜くかのように立ち上がり、見下すコンラート。
「何を勘違いしていた?俺はお前に第一線で戦えと指示を出したか?」
輝く宝石に似た色の瞳から、無色の涙が流れ落ちた。
「何故指示を破り、第一線で戦った?自らの能力を奢ったか?強いと、男より強いと勘違いしたか?」
まるで嘲笑うかのように、コンラートはリーヴェを無理矢理立たせ、木の幹に押し付ける。
顎を固定し、目から離せないようにした。
「それともジュリアを憎んで?もしかしたら俺を?」
言葉の変わりに必死に顔を振り否定をする。
「何故ジュリアが死ななければいけなかった?何故彼女が死んだ?“お前”が死ねばよかったのに!」
「すみません、すみません!私のせいです!私がいけなかったんです!私が死ねばよかったのに!!」
狂ったように叫ぶリーヴェを一瞥すると、コンラートは冷たく言い、その場を後にした。
「あぁ。“本当にな”」
残されたのは壊れかけた一人の少女だけ。
コンラートは知らない。