「“あの時”リーヴェがどんな状態でアンタを探して駆け付けたかをさ」
「どういう意味だ?」
眉間に皺を寄せた厳しいコンラートの視線でさえ、今のヨザックには情けなく見える。
これが本当に“あの”ルッテンベルクの獅子かと疑うほどに。
「アンタがフォンウィンコット卿のことで闇に囚われていたのは知ってる。だが、悲しんだのはアンタだけじゃないはずだ。……リーヴェが傷付いていなかったとでも思っているのか?」
「……今だったら分かっているさ」
自嘲気味に言うコンラートに、とどめの一言をヨザックは告げた。
「……リーヴェは処女じゃないぜ?この意味が分かるまでアイツに近付くなよ」
コンラートは文字通り絶句した。
月明かりは無情にも冷たく降り注ぐ。冷淡(成れ果てた結果か)