「そうか」
「リーヴェはどうだ?」
顔色を伺いながら、それでも少しずつ確信に迫る。
「私は“戦争のない国”という表向きを作る仕事をしているんだが?それに……」
俯き、苦い顔をしたがそれも一瞬のこと。
ヨザックに向き直り淡々と言い放った。
「フォンウィンコット卿のことは私自身の問題だ。そのことでヨザが気に病む必要はないし、気を使うこともない」
ばれていたかとおちゃらけて舌を出す。
彼の場を明るくしようとする性格と気遣いに何度助けられたことか。
リーヴェは心の中で感謝した。無論、それにヨザックは気付いていたが、あえて口には出さない。
二人は仕事の話をしがてら血盟城まで馬を飛ばした。
血盟城に着き、馬を預けると、何時の間に着替えたのかグリ江ちゃんが立っていた。
「どぉ?新作のドレスなんだけれど似合うかしら?」
「そうだな。フリルは白ではなく淡い色を使うのが最近の流行らしい。今度取り入れてみたらどうだ?」
グリ江ちゃんに付き合うようになったのも、此処最近のこと。
昔は“付き合いきれない”と断られてばかりいた。