「依頼はリーヴェに伝えたぜ。決行は明日、夜」
ヨザックに無理矢理引き離されるリーヴェは、その声を聞き、思わず立ち止まると彼を見て、軽く、笑みを零した。
「ありがとうございます、アーダルベルト様」
そうすれば、今度は立ち止まろうとするヨザックを引っ張り、その場を去ろうとする。
「行こう、ヨザ。作戦を立てたい」
これ以上、深入りされる前に。
そして、アーダルベルトを魔族の土地に残すのは危険だと判断して。
「待て、コンラッド」
だが。
二人を追い掛けようと足を踏み出したコンラートに、アーダルベルトは小さく低い声で制した。
リーヴェとヨザックの気配が遠く離れると、アーダルベルトは躊躇いなくコンラートの胸元を掴み、木へとその身体を押し付けた。
衝撃でガサリと葉が揺れる程、強く。
「お前、ふざけるなよ」
「……何がだ?」
先程までの柔らかい雰囲気は何処へ。
まるで今にでも殺りそうなほど、強烈な殺気を帯びる。
「リーヴェを壊したのはお前だろ、コンラッド?まだアイツを縛り付けてるのか!?」