「そこまでだ。アーダルベルト」


カチャッと、アーダルベルトの首元で剣の存在を示すような音が静寂に響く。
彼がニヤリと笑えば、相手もまた、フッと空気を揺らした。


「グランツの若旦那かよ。脅かすなって」


ついでにおちゃらけた声も加わって。


「リーヴェに何の用だ?」


「エモノを下ろせ、ウェラー卿。別に取って食いやしねぇぞ」


コンラートはちらりとリーヴェの安全を確認し、大人しく剣を鞘に収める。
此処で彼を斬れるとも思っていないし、その前にアーダルベルトと一戦やり合うには状況が悪すぎた。


アーダルベルトは「王子様のお出ましとはな」と、少し笑いながら呟き、腰を上げる。
彼も、今此処でやり合う気はないらしい。
片手をリーヴェに差し出し、まるでお姫様をエスコートでもするように、軽やかに抱き起こした。


「リーヴェ、怪我はないか?」


「おいおい、オレは何もしちゃいねぇぜ?用事は済ませたしな」


過保護過ぎるヨザックの反応に、思わず苦笑する。
が、その異様な態度に少し、眉を顰めた。


──こいつは、まさか……。



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