「は?あのガキ、まだそんな事言ってるのか?」
信じられないのか、肩を落とし一気に落胆する。
だが、アーダルベルトの反応に、リーヴェは安堵した。
その、今も昔も変わらない優しさが何時も安らぎを与えてくれたから。
「まぁ、仕方ねぇか」
そう呟けば、ドサリと勢いよくリーヴェの横に腰を下ろし。
下がった金色の眉毛と、とても優しい青の瞳が闇夜に映えた。
「無理してねぇか?」
「え?」
ふいに、互いが目を合わせると。
まるでその話をするべく来たかのように、アーダルベルトは核心を突いて来た。
「お前は直ぐに無理するからな。ジュリアが心配してた通りだ」
ドキリと心臓が跳ね上がる。
ジュリアという名前と、今まさにリーヴェが置かれている状況に。
あからさまに戸惑えば、それを確信していたのか、アーダルベルトはフッと表情を緩めた。
彼の、硬く逞しい軍人の手がリーヴェの肩に置かれ。
優しく憂いを帯びた声が、頭に響き。
その、真っ直ぐな瞳がエメラルドグリーンの瞳を貫く。
そして、まるで諭す様な口調で、
「オレの所に来い」
甘く、魅惑の選択を差し出した。