アーダルベルトはリーヴェの視線まで屈むと、まるで悪戯っ子のような表情をして、その質問に答えた。


「実はな、頼みたい仕事があるんだ」


そう言うと、茶色に若干煤けた資料を差し出す。


一見何も特別ではないそれに、訝しく思いながら目を通すと、最後のページでピタリと動きが止まった。
なぜなら、そこに記載されていたのは、間違いなく、大シマロンの国印だったから。


リーヴェが資料を確認すると、アーダルベルトは「そういうこった」と軽く調子を合わせる。


──つまり、極秘事情だ、と。


「“こっち”で悪さしてる馬鹿がいるって聞いてな、調べた。細かい事はあとでソレを読めば分かるが、手短に言えば、」


「“害”ですか」


大シマロンの人間だが、大シマロンの意志ではなく勝手に動いた反乱軍。
彼の国が“危険因子”と認め、任意で抹殺の許可を下ろした相手ということだ。
彼等が死んでも、一切口出ししないという、同意書。


「頼めるだろ?」


そう、当然のように聞くアーダルベルトを見て、また、数日前の有利を思い出す。
思わず、苦笑した。


「陛下が許可を下ろせば。あるいは」



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