「リーヴェ、聞いて。私、もう助からないわ」
弱弱しく、リーヴェの手を握って、ジュリアは訴えた。
「何を!?まだ助かります。諦めないで!!」
「ねぇ、リーヴェ。私……」
「ジュリア!?」
──大好きよ。
そう、一言告げて、彼女は絶命した。
「いや…いや……いやー!!」
リーヴェは無駄だと分かっていながら、ジュリアに呼びかけた。
“お願い、返事をして!!”
“戦争は終わったのよ”と。
そして……“生き返って”と。
「まだ、女が生きてやがったか」
「……誰」
リーヴェの後ろで、男の、低く卑らしい声が響いた。
「おい、こいつ馬鹿オンナじゃねぇか。オレらに指示を出していた」
リーヴェが振り返ると、そこには大シマロンの軍服を着た男が二人立っていた。
その顔に見覚えがある。
ジュリアの護衛を任せたうちの二人であった。
「貴方達……何故!?」
「甘く見られたものだ。こっちに回復専門者がいると聞いて進入してみれば。えらく大人しい女だったな」
下品に笑う声におぞけさえ感じる。
「来いよ。気持ちイイことして俺らと遊ぼうぜ?」