元々魔力が全く無いリーヴェは、ただでさえ女性であるという不利な前提があることを理解しつつ軍人となった。
その後も、貪欲に強さを求め、今では並の男性では太刀打ち出来ない程の実力を付けている。
彼女は男性軍人五人を戦場から減らしてでも第一線で戦ってほしいと思わせる人材だったのだ。
どれくらい時間が経ったのであろうか。
相手に変化が訪れた。
多くの兵が引き始めたのである。
しかし素直に両手を挙げて喜ぶことは出来ない。
「体力の限界だろう」
指揮官が加える。
“それはこちらも同じこと”。
「勝負は、日の出と共に決める。それまでに体力を回復しろ」
暗い夜の闇の中、緊迫した空気が流れた。
リーヴェは連絡を伝えるため、ジュリアの下を訪れる。
「フォンウィンコット卿。身体は平気ですか?」
「えぇ。随分休ませて貰ったわ。ところで、日の出なのね?」
「はい」
事情を察したのだろう。
ジュリアは何度か頷くとリーヴェを見上げ、話し始めた。
「私、貴女に会えてよかったわ。コンラートに感謝しなくちゃね」
屈託のない笑顔につられリーヴェも顔を朱く染め微笑み返す。