──あの時。
どうして彼女は私にあのような言葉を残したのだろうか?


戦火の中、フォンウィンコット卿スザナ・ジュリアが私に残した言葉はとても信じられるような言葉ではなかった。
彼女は、彼女が死ぬ原因を作った私にこう、言い残したのである。


「大好きよ」















リーヴェの起こしたミスはとても些細な事だった。


「フォンウィンコット卿。もうそれ以上魔力を使わないでください」


ジュリアの体力低下は目に見えて分かる。
元々細めの身体も、今は憔悴しきっており、気力と意地だけで軍人の治療にあたっていて。
目の下の隈も日に日に濃くなっていた。


「私は今出来る事をしたいの。それに今治療を行わなければ、彼等はもっと悲惨な状態になってしまうわ」


「しかし、貴女自身にも限界がきています。少し休息を取って、それから仕事を再開しても遅くはありません。皆、貴女を失いたくないのです」


そう言って、周りを見渡すと、皆同意見らしく、しきりに頷いていた。


「さ、少し休んでください。護衛をつけますから、安心して睡眠をとってもらって構いませんよ」



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