だから牧は、挨拶が終わると葉月から目を離して、バスケ部の今後の予定の書かれたプリントに目を移した。


落とした視界に影が出来る。
白いプリントに落ちた、影。


「……結城?」


視線を上げれば、きょろきょろと何事か、牧の机の周りを見る葉月。


「どうかしたのか?」


「うん、ちょっと探し物」


「何を落としたんだ?」


ガタリと席から立ち上がり、牧も一緒に周りを見る。
しかし、葉月はきょとんとした顔で牧を見た。


「落としてないよ?……探してるの」


「……何を?」


ばちりと視線が合って。
一瞬、妙な雰囲気が漂う。
二人の間、だけ。


「愛を探してるの」


「…………ん?」


「牧くんの、愛が落ちてないか探してるの」


一瞬、何を言われたのか解らず、固まる牧。
──愛?…………牧くんの?


「それは、落ちてるもんなのか?」


「落ちてるかもしれないでしょ?」


楽しそうに、にっこり笑った葉月の笑顔に。
何かが堕ちそうに、なった。





お探しものは
愛ですか?
(鈍感牧くんへ)

お題拝借:森blog 様




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