突然、流川に片手を引っ張られコートまで強制的に移動する。
彼の不思議な行動に目をぱちくりとしていると、何を考えているのか。


流川がレイアップシュートを軽々と決めた。


パスッとネットの軽い音が聞こえる。
花道が苦労して一本を決めたそれを、彼は何でもないようにしてみせた。


「どうだ」


──??
葉月はいまいち流川の言いたい事が分からず、首を傾げる。


「“カッコイイ”だろ」


その、突然の告白に、思わず目を見開いて驚いた。
流川が言いたい事が、何となく理解出来たから。


つまり彼は自慢したのだ。
花道より、上手いことを。


その姿があまりにも可愛らしくて、葉月はにっこりと笑った。
普段の行動やプレーから想像出来なかった、彼の一面に。


「うん、すごく格好良い!」


それから。
早朝、流川が高校一年生とは思えないようなプレーを連発し、練習する姿を。
楽しそうに見る葉月の姿が、度々見られるようになるのだった。





密やかな恋のうた
(無言で唄われる、それ)

お題拝借:Romantic Wars 様




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