実は朝早くから出て行った花道を追って、随分前から此処にいるが、そんなことは葉月にとってはどうでも良い。
晴子より、何倍も花道を見て応援しているけれど、そんなことはどうでも良い。
葉月にとっては、大切な兄が幸せな方が重要だからだ。
──あっ!
「入ったあーっ!!」
ポスッとゴールネットが鳴ると、まるで吸い込まれたようにバスケットボールがゴールに飲み込まれた。
庶民のシュート、初の成功である。
「お兄ちゃん、すごい!格好良い!!」
ぎゅっと手を握ると嬉しさのあまり、足が動いた。
が。
思わず出た足を見て、その身体を止める。
──せっかくの晴子ちゃんとの秘密特訓だもの。
邪魔をしたら悪い。
花道のチャンスを無にしてはいけない。
葉月は二人に気付かれないように彼等がコートを後にするまで、大人しくその場に残った。
「流川君、ありがとう」
二人がコートを後にしたのを確認すると、葉月はやっと流川に声をかけた。
すると、
「えっ?」